恋敵が人じゃない場合、一体どうすればいいと思いますか?



『恋敵と書いて、こん畜生なライバルと読む』



 この気持ちが淡い恋心だと気付いたのは随分遅く、その時僕には恋敵ができていた……と思う。
 その相手は僕よりも遥か、もう何メートルなのか想像つかないほどの高身長。体重は僕のほうが遥かに軽いのが、ルックスはきっと相手だって負けていない。いやもしかしたら僕が負けているのかもしれない。いまいち、基準が解らないのだが本人いわく
 『美形』らしい。カッコ悪いとは思ったことない。むしろ僕自身がカッコいいと思ってしまったこともある。……何か悔しいかもしれない……。
 人を守る力は言うまでもなくある。戦士なのだから守れて当然だ。
 人柄……前よりも遥かに良くなってそれが僕にとっては決定打、完敗の要因な気がしてしょうがない。
「随分、悩んでるみたいじゃん〜」
「別に……そんな顔してたかい?」
「うんうんしてたって。どうせまたアレクサの事考えてたんだろ?」
「ちょっ……!!」
 何でこうカルロスはストレートに物事を言ってくるのだろうか。これじゃあ思いっきり僕がアレクサについて悶々と考え、思いを馳せているようなもの……間違いではないけどさ……。
「でもラッドも大変だよな、ライバルがあれだもん」
 ライバル。鋼鉄の体の戦士。
「でも本人達にその気があるとは限らないじゃないか。もしかしたら僕の勘違いかもしれないし」
「そりゃな。でもあれって何か怪しくね? アレクサは人間、スタースクリームはトランスフォーマー。恋がどうのって俺もよくわかんないけどさ少なくともスタースクリームはアレクサの事、信用してると思うんだよなぁ」
 あの行動と態度を見ていれば僕だって解る。
 アレクサが傷ついたスタースクリームを癒すように信じ続けていたし、それはアレクサの意思でしていたんだから本気でアレクサはスタースクリームの事を仲間だと思っていたんだろう。
 最初は僕もどうしたら解らなかったけど、そんなアレクサを見ていたら僕も彼を仲間として信用できるようになっていた。
 別に僕は彼のことが嫌いとかそういうんじゃなくて何か気持ちが落ち着かないというか……。
「でもさ、もしなもしあの二人がそんな気持ちになったらどうなるんだろうな」
……カルロス、それは僕にどう答えればいいんだい? 僕としては手放しであまり喜べない気がするんだけど……。
「あっ、悪い。別に変な意味じゃないからなっ! まずはラッドVSスタースクリームになるのかなやっぱ?」
「勝手に好き勝手言われているような…。そうなるなんて決まってないんだし、もしかしてちょっとそんな展開を期待してるとか言わないよね?」
「まっさかー。俺がそこまで考えるワケないじゃん」
「自分で言うなって……」
 どうしよう。何か変に気になってきちゃったよ。カルロスが変な事言うから!
 何で僕がスタースクリームとライバル関係にならないといけないんだよ、彼は仲間だって。それにアレクサは僕の友達……。それは多分違う。友達だけどちょっと特別なんだ、きっと……うん。
「おーい、大丈夫かラッド?」
「平気。また色々考えちゃったけど」
「もう何だよ何だよ。恋しちゃってさー」
「だからそんな大きな声で恋なんて……」
「コイ? 一体それは何だ?」
「! す、スタースクリーム!?」
「何をそんなに驚く? それよりコイとは何だ?」
 驚くって! だって今まであんな会話してたんだから……。
 それにしても恋を知らないってこと、そんな事って本当にあるのかな。
「知らないの!? だってトランスフォーマーだって恋とかすんじゃないのかよ!」
「だからそのコイとは一体何だ?」
「えっと……恋はその、ある人にだけ特別な感情、この場合は好意を抱くことだよ。でも本当にスタースクリームは恋をしらないのかい? だって誰かに何か思ったことないの?」
「今まで私は特別な思いなど抱くことはなかった。私は戦士だ、そんな私情を持っていては戦闘では役にたたない。その素振りを見せるときは、相手から情報を引き出すときに役にたつ」
 それはあまりにも悲しい発言だった。
気持ちがこんなになかったなんて……彼は僕達に会うまで一体どんな生活をしてきたんだろう。僕達は両親に愛されてきたけど、彼には両親……トランスフォーマーの生活はよく解ってないけど、両親に位置するような人達に何もなれなかったのだろうか?
「でも今は違う。私はきっとこの地球に来て、子供達に出会って変わった。私情など馬鹿馬鹿しいと思っていたが今はその私情もあながち悪くないと思っている。その恋というものになるが、私は子供達に恋を持っているということか?」
「ち、ちが! それは微妙に意味が違うってば!! まず恋は男の子なら女の子、女の子なら男の子に抱くもんだってば」
「男が女……。私は男に所属されるのだから恋は……アレクサに持つということか?」
 なっ! もしかしてちょっと自分で自爆のボタン押したような気が。
「間違いではないと思うけど…」
「そうか、では私がラッド達に向けての場合は何と呼ぶのだ?」
「俺達か? 俺達は友情だと思う……」
「友情……。ほう、これで一つ人の事が解ったな」
 何かスタースクリームは真剣に納得してるし。そこで真面目になる必要もないと思うけど
 そこがきっと彼らしいだろうと僕は少し思った。
「あ! いたいた、何話してたのよ」
 あ、アレクサ!? どうしてこんなタイミングの悪いときに来るんだっ。
「アレクサか。今、ラッド達に地球の感情について学んだところだ。どうやら私はラッド達に友情という感情を持ち、アレクサには恋という感情を持っているらしい」
「……言っちゃった」
「えっ……」
 アレクサはスタースクリームの顔を見ながら静かに固まり、カルロスは軽く僕から視線を外し、そして僕はこの恋敵と戦う前に勝負がついたのではないかと思っていたのだった。


後書き
ラッドってアレクサに気があったんじゃないのか?と前から思っていてじゃあ、スタースクリームって微妙に恋敵になるのか?と思って…。
勝ち目は多分ない(爆)二人の世界に入りこんだスタスクとアレクサにラッドが入り込む隙はない気がするんですが。

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