もう二度と会えないと思っていたのに。
 その微笑も優しい言葉も……
 でもまた出会ってしまった。
 限りなく広いソラの下で


                   『月日』


 彼女は容姿が少々変わったくらいで中はあまり変わったようには見えなかった。
 人間とは年を重ねるごとに姿が変わっていくようで、人間風に言うなれば少女は10年という月日のなかで大人の女性になっていったのだ。
「あなたも少し変わったね」
 彼女は一目で自分を見抜いた。
 あまり姿の変貌などにまったく興味を示さず、むしろ変わっていくことなどごく当たり前のように認識している我々にとって、前の自分の名前を当てるだけでも一苦労といえる。
 勿論、性格や記憶などで判断すればまったく苦労とも思わないが私の場合は違う。
 自分が誰であるかも、記憶も性格もすべてない状態で変貌した私の昔の名など当てるほうが難しいのに彼女はたった一目見ただけで
「もう一度会えるなんて思わなかった」
 驚いた。そして焦りや嬉しさが同時にこみ上げることも自分自身気づいていた。


 私は一体、なんと言えばいい? 
 思いがけない再会に気分が高ぶる。
 でもそれと同時にどこが罪悪感が自分を締め上げるようで、手放しに喜ぶことなどできなかった。
 喜んではいけないのか?
 私はここに戻ってはいけない存在だったのかもしれない。
 死んだものは二度と戻るはずはないのだから……


「ナイトスクリームどうしたの?」
 後ろを振り向かなくても誰だかは声で分かる。
 アレクサだ。
 アレクサの声は心配しているという気持ちが現れていた。ナイトスクリームはその気持ちに気づかないふりをし、
「何でもない」
 そう呟いた。
「何でもないはずがないじゃない。だって元気なさそうだもん」
「何故、そこまで私を気にする?」
 そういえばこの台詞を昔にも言ったような気がする。確かスラストを追ってダブルフェイスと交戦した時であろうか。
 先に行くホットロッド達についていかず、待っていた。
 先に行けと言ったはずなのに彼女は断じて行こうとせずに待っていた。
「あなたのことが大切だからよ」
「……何を言う」
「私はあなたを信頼してる。大切な仲間よ、だからもう失うのは嫌なの」
 本音を垣間見えた気がした。
「この10年間長かった。死んだなんて信じたくなかった時もあった。そんな時ふとあなたから貰ったペンダントを見るのよ」
 ほらとアレクサは首につけているペンダントを見せる。10年経ってもペンダントはまったく変わっておらず変わったといえば、石に軽くひび割れが入っている程度だ。
「このひびはねあなたがいなくなった日についたの。だからあの時は不安になった……」
 ナイトスクリームは決してアレクサを見ようとはしなかった。まだ彼自身、思い悩む節があり今顔を見るのは苦痛にしかならなかったからだ。
「不思議ね、このペンダントを見ていると気が落ち着くの。お守りって言ったらいいのかしらね」
「この10年間、何があった?」
「大統領の夢があったからひたすら勉強してたかしら? 今は政府の広報官だけどね」
「大したもんじゃないか。私はただ眠りについていただけだ……」
 悲しそうに呟く声にアレクサは胸が苦しくなった。
「本当はあなたに色々話したいことが沢山あるの! あなたがいない10年間分きっちり。でも、まだあなたは辛そうだから、私は何も話さない。あなたがいつか今の自分を受け止められる日がくるまで私は待ってるわ。正直言うと、待つのは辛い。でも平気よ、今度はあなたがいるんですもの。まったく……ここまで文句ひとつ言わず待って貰えるなんてありがたく思ってね。なんちゃって」
 アレクサを傷つけているのだと、ナイトスクリームは自分を責めた。もっと素直に今の現状を受け止めてさえいればいいのに。


 もっと楽に割り切れることができたのなら
 肩を静かに震わせているキミを
 そっと抱きしめることはできたのだろうか?



後書き
TFなんで無理です(笑)なんてきついツッコミをするんだ自分!
にしてもこの切なラブを抜け出したいのですが……。ただのラブラブにできませんかね?
見ただけで蹴りをいれたくなるような甘いのを。
そしてこの時間軸がさっぱりだよ過去の自分! (笑)きっと記憶が戻って(妄想)その直後のどこか
だろうけど……。

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